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国際女性デー2013 「アフリカの女性たちのエンパワメント」

アフリカの女性たちのエンパワメント

 第5回アフリカ開発会議(TICAD X)パートナー事業
 2013年3月10日(日) 会場:男女共同参画センター横浜内ホール

主催:
UN Womenよこはま
共催:
フォーラム(男女共同参画センター横浜)
後援:
神奈川新聞社
(一社)国際女性教育振興会神奈川県支部
tvk(テレビ神奈川)
NPO法人UN Women日本国内委員会
横浜市       (50音順)ちらし
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今年は6月にTICADXが横浜で開かれます。今回はそのプレイベントとしてアフリカを取り上げた講演会を開催しました。アフリカを長年研究されている明治学院大学の勝俣誠先生を講師にお招きし、アフリカの現状、特に女性に焦点を当てたお話を聞き、さらに南アフリカで農業支援活動をされている(特活)日本国際ボランティアセンターの渡辺直子さんと対談していただきました。アフリカをもっと身近に感じ、これからどのように交流していったらよいのか、共に考えていきたいものです。以下は、当日の内容をまとめたものです。

和やかなオープニング


 MKコールの合唱団

 UN Womenよこはま 西村会長、(公財)横浜市男女共同参画推進協会合田理事長の挨拶に続き、戸塚区の混声合唱団MKコールのアフリカ曲などで始まりました。地元MKコールの合唱団とは交流の意味もあり、合唱団の温かい雰囲気は会場にとけこみ、和やかなオープニングとなりました。

第1部 勝俣誠先生による基調講演


 勝俣誠先生

 まず、明治学院大学国際学部教授・国際平和研究所所長 勝俣誠先生に、西アフリカの映像も混じえながらアフリカの現状について基調講演をしていただきました。
ひとことでアフリカと言っても、100km先で文化や景観が変わる実に多様性に富んだ国々であると語られました。
 次に、総人口の約7〜8割が生活する農村で生計を立て、基本的社会サービスが不足している厳しい現状と、男女性別分業がなされている実情を話されました。
 自宅からの移動が容易な男性は、しばしば輸出換金作物(ピーナッツやカカオや米など)の農作業に関わる仕事に就き、一方女性は、子育てや家のそばで水くみ・家事全般を担いながら、同時に出来るトウモロコシやイモ類の食料生産を担っています。さらに夫が亡くなると、夫の家族から土地を取り上げられることもあるそうです。
 アフリカの女性の自立と次世代の未来のために必要な事として、@水の確保・教育・医療の基本サービスの整備 A女性の土地へのアクセス手段の確保などが挙げられました。また、いつ寝ているのかと思うほどよく働くアフリカの女性たちから、先生ご自身がパワーを貰うとのことです。
 アフリカ地域研究40年以上に及ぶ造詣の深い勝俣先生のお話は、会場ホールに集まった私たちの胸に静かに広がり浸透していく感じがしました。

勝俣誠先生と渡辺直子さん(日本国際ボランティアセンター南アフリカ事業担当)の対談


 勝俣誠先生と渡辺直子さんの対談

 勝俣先生(以下敬称略):アフリカは広く、国によって文化も経済も価値観も違います。今日は渡辺さんの活動拠点である南アフリカと私の専門である西アフリカ、セネガルの状況を比べながら、農業や女性の支援ということにフォーカスして話し合いたいと思います。
渡辺さん(以下敬称略):南アフリカは世界1,2の格差社会で、高層ビルの立ち並ぶ繁華街から車で10分も行くとスラム街が存在します。1994年にアパルトヘイト(人種隔離政策)が撤廃されるまでの50年間、黒人からは教育の機会や経済的な自立、自主性が奪われていました。白人の経営する鉱山・農場やスーパーで働く出稼ぎ労働社会が固定化し、白人社会への依存が強くなりました。アパルトヘイトが終焉して20年経った今も依存の悪循環から抜け出せず、貧困の状況があるのです。
勝俣:貧困といえば農業、女性の問題といえば農村部の女性の問題と言って間違いない。農業の支援が重要になると思いますが、農村部の労働はどんなものでしょうか?
渡辺:男性は家畜の世話、女性は子どもや一般的な家まわりの世話です。生活のための水汲みも大きな仕事です。こうした仕事や女性がする小規模な家庭菜園は現金収入とは結びつきにくい側面があります。
勝俣:国とか自治体という公的機関のサポートは入っていますか?
渡辺:入っていますが、善し悪しです。伝統的な種を使った有機農法を使ったトウモロコシ栽培で自給自足できる地域に、政府主導で生産量を上げて売るために、一世代の種や農薬・化学肥料などを大量投入する近代化農業を導入しました。しかし、種が合わずに生産量が上がらず、コストをカバーできなくて結局農民に借金が残るということもありました。
勝俣:現在、力を入れていること、女性のエンパワメントのプログラムは何ですか?
渡辺:お金をかけず、家族が安心して食べられるための家庭菜園研修を実施している所もあれば、医療・保健分野に力を入れている所もあります。法整備も必要ですが、自分たちで決めるやり方を支援しています。
勝俣:僕は農業の中でも一番大事なのは、テクニックよりも自分でデザインする、段取りをすることだと思う。ケニアの女性のマータイさんの「モッタイナイで地球は緑になる」という本は、自分の持つ力に気づく女性たちに誇りを持たせたという意味では良かった。80%が家族農業の現状では、これからは女性も土地の権利を確保できるよう、土地の使用権に対する法整備と食の安全が大きな問題になると僕は思います。

  最後に会場からの質問で、宗教による偏見が存在すること、アフリカの人々の平均寿命は50〜60歳で子供の数が1世帯あたり10人からだんだん減ってきていることがわかりました。また、勝俣ゼミの男子学生が「アフリカの中で女性のエンパワメントが成功している国はどこですか?」と質問。国により状況が違うので一概には言えない。クウォーター制などで政治的には女性議員が増え、女性大統領も選出されている国もあるが、実生活はまだまだとのお答えでした。
もっと多数の方に聞いてもらいたい中味の濃い1時間でした。対談の中盤に援助について勝俣先生がおっしゃった言葉を思い起こします。援助には災害緊急援助と当事者に問題の所在を気づかせて考えさせる援助の2種類がある。言葉を変えれば、セネガルのママドウ氏が言う、ただ箱を作る援助と考えさせる援助とも。今、アフリカに必要なのは、あらゆる分野で気づき、考えさせる援助だと心に沁みました。

第2部交流会

AWCアジアの女性と子どもネットワーク(タイの小物と雑貨)
FRNファイバーリサイクルネットワーク
まどか工房(クッキー、パウンドケーキ他)
チームピースチャレンジャー(インド、バングラデシュ
ネパールの村の女性や子どもたちが製作した手作り品)
手しごとサポート(和布の手作り小物)
NPO法人WE21ジャパン(フェアトレード品、リメイク品)


 洋光台ジェンベの会

 交流会は、「洋光台ジェンベの会」のアフリカの太鼓と踊りで始まりました。この会はアフリカの音楽・楽器の演奏を行う団体です。今回は会場が大きな音を出せない制約があるため、舞台には母子二人だけの出演で、小学5年生男子の太鼓演奏に母の踊りでした。
 アフリカの太鼓は細くなっている部分を、脚に挟んでばちを使わずに鼓面と縁を手指で鳴らして様々な音色やリズムを表すものです。小学生とは思えないほどのしっかりした脚での太鼓のはさみ方も演奏も見事でした。女性の踊りも独特の民族衣装に素足で、その演奏に合わせて歌いながら踊り、二人だけでも力強さと音楽性と民族的雰囲気を存分に醸し出しました。
 舞台が終わり音楽の余韻が残るなか、出店6団体及び当団体ショップとイベント参加者の執筆本などの展示・販売、交流会となりました。当団体は、通常ショップの品に加え、去年と同様に東日本大震災被災地の海苔や油麩も並べました。そして強風の中を集まった方々にケニアティーのサービスを行い、用意したポットのお湯がすぐに足りなくなるほど、参加者同士、交流を楽しみました。

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